上司に、ジムのバイトで
ケガをしたと打ち明ける

 翌日の朝。Aの母親から「Aがスポーツジムで大ケガをして病院に入院している」との知らせを受けたC総務課長は、D製造課長とともに早速病院へ向かった。

「A君、大丈夫か?」

 D製造課長が呼びかけると、Aはベットに寝たままケガの状況を説明し、入院治療で会社を欠勤することを詫びた。そして入院中の休みや給料の扱いはどうなるかをC総務課長に尋ねた。

「Aさんは今年度年次有給休暇があと10日残っていますから、Aさんが良ければ欠勤中当初の10日間は有休扱いにします。お休みがその後も続いた場合は休職になります。休職中は給料は出ませんが、その一部補填として傷病手当金を申請しますよ」

 C総務課長は、更に病院の入院代や治療費支払いのために健康保険の『限度額適用認定証』の交付手続きをすることも説明した。
※参考:協会けんぽ

するとAがバツの悪そうな顔で、

「さっきBさんが見舞いにきて、私の入院治療費はバイト先の労災が使えると聞きました」
「えっ?」

 てっきりAがジムでのトレーニング中にけがをしたと思っていたC総務課長とD製造課長。まさかAが会社に内緒でバイトをし、その最中のケガだったとは思ってもいなかった。D製造課長が事情を尋ねると、Aはジムでバイトを始めたいきさつからケガをしたときのようすまで正直に話した。2人の課長はその内容を困った顔で聞いていた。