円安が日本経済に与える影響
勝者と敗者が明確に分かれる
行き過ぎた円安への懸念が高まっているが、日本銀行は一貫して「円安は日本経済にとってプラス」と主張し、1月の展望レポートでは、主張を裏付ける精緻な分析を示した。
この分析をみると円安が及ぼす影響は複雑だ。プラスかマイナスかは、企業と家計の間でも、企業のタイプによっても大きく異なり、勝者と敗者が明確に分かれる(図表1)。
円安効果は複雑多岐
日銀は「プラス」と結論
プラス効果の代表格は財輸出だ。円安になると、外貨建ての輸出価格を引き下げて輸出量を増やすことも出来るし、輸出価格や輸出量が変わらなくても、円建ての手取り金額は増える。
サービス輸出へのプラス効果も大きくなってきている。おもてなしの心もさることながら、近年のインバウンド増加は、日本で旅行するコスパがデフレと円安で良くなったことが大きい。
日銀が特に強調するプラス効果が、企業が対外直接投資を急増させるなか、そこから得た配当金などの海外所得が、円建てで見たときに円安で一段と増える効果だ。
一方、マイナス効果としては、輸入コストの増加が断トツに大きい。輸入コストの増加を価格に転嫁できないと、企業収益が圧迫され、インフレで家計の実質購買力も低下する。