20年以上にわたり、のべ6000軒以上の家を片づけてきた「片づけのプロ」、seaさん。家事代行マッチングサービス「タスカジ」では口コミで人気に火がつき、「予約の取れない家政婦」と呼ばれている。テレビ「セブンルール」にも出演するなど、話題に事欠かない。
そんなseaさんの片づけ術の集大成が、新刊『家じゅうの「めんどくさい」をなくす。ーーいちばんシンプルな「片づけ」のルール』だ。この連載では、本書より一部を特別に抜粋・編集して公開する。
seaさんの元には「家族が家を散らかしてうんざりする」という悩みも寄せられる。散らかった部屋を片づけるのはいつも自分だけで、負担を感じている人が多いのだという。
「片づけない家族」には、どう対処すればよいのか? 6000軒を片づけたからこそわかる対処法を本書より紹介する。。
家族のモノを勝手に処分すると、ろくなことがない
片づけに真剣に取り組んでいる方ほど、捨てられない家族へのいら立ちが強くなりがちです。
だからといって、家族のモノを勝手に処分してしまうと、相手にものすごい痛みを与えてしまいます。人のモノには執着がないので捨てやすいのですが、そのモノの価値を判断できるのは持ち主だけです。
強制的にモノを減らせば、部屋はすっきりするでしょう。でも、あとに残るのは「隙あらば自分のモノを捨てられてしまう」という不信感です。
そうなるともう、片づけに関して前向きなコミュニケーションをとることはできません。
片づけは、本人の「自己決定感」がとても大事です。なので、家族のモノは勝手に分けず、自分ひとりで完結させられる場所から始めましょう。
自分のクローゼットやワークスペース、おもに料理をするのが自分ならキッチンなど。自分だけの場所でも改善の余地は大いにあります。
家族に動いてもらうコツ
とはいえ、共用スペースが家族のモノだらけだったり、家族の個人スペースが散らかりすぎていたりして、生活がしづらくなっていることもあるでしょう。
そういうときは、家族自身に自分のモノを分けてもらいましょう。人はなかなか思いどおりに動いてくれないものですが、やり方はふたつあります。
ひとつは、あなたのスペースを先に片づけきって、気持ちいい状態を見てもらうこと。
「使いやすそうでいいな」と思わせられればこっちのもの。「自分もやってみよう」とやる気を出してくれるはずです。
もうひとつは、なぜ片づけるのか、家族にどんなメリットがあるのかをわかりやすく伝えること。
「あなたの朝晩の着替えがスムーズになるよ」「子どもが思いきり遊べたらいいよね」という具合に、「捨てる」「減らす」以外の目的を伝えるのです。
メリットに納得できると片づけが一気に自分ごとになり、「何年も着てない服を捨てたら、場所ができるかも」「それなら、ここのモノをどかそう」と、動いてくれることが多いです。