さらに裾野を広げる活動も不可欠だった。クラウドに関心がない社員の興味を喚起するため、ハッカソンやコンペティションを開催するなど、工夫を凝らした。

「座学やプログラミング研修も大事ですが、何かを作り上げるとか、ゲームで勝つとか明確なゴールがあると人は頑張れる。楽しくやっているうちに気づけばクラウドが使えるようになっていた、AIが触れるようになっていた、そんな機会を提供していきたいです」

DNPのCCoEによる活動の全体像。継続的な学習機会の提供をベースに、ガイドラインや共通サービスを開発し、各開発プロジェクトにノウハウや共通アセットを提供している。出典:『DXを成功に導くクラウド活用推進ガイド CCoEベストプラクティス』DNPのCCoEによる活動の全体像。継続的な学習機会の提供をベースに、ガイドラインや共通サービスを開発し、各開発プロジェクトにノウハウや共通アセットを提供している。出典:『DXを成功に導くクラウド活用推進ガイド CCoEベストプラクティス』

CCoEに向く人、向かない人

 和田は、「人材育成活動を通じて、CCoEに向く人、向かない人が見えてきた」という。

 和田によれば、CCoEに必要な素養は3つ。まずは、チャレンジ精神が旺盛であること。視野が広く、全体最適で考えられること。そして最も重要なのが、周囲の成長や成功を心から喜べる人であることだ。

「自分のことしか考えられない人には無理でしょう。私たちCCoEは、人より少しクラウドを知っているから、最初はある意味、マウントを取れる。でも、社内にはポテンシャルが高い人がたくさんいて、あっと言う間に(クラウドの知識やスキルで)抜かれることもあります。それを素直に喜べず、自分の立場を守ろうとする人はダメ。クラウドに限らず、そういう人に物事を推進するなんてできないと思います」