中身見えない米国の新通商政策
漂流する日米自由貿易協定
バイデン米大統領が昨年秋に打ち上げた新通商政策「インド太平洋地域での新たな経済枠組み」が、一向に具体化しない。
閣僚をアジア各国に派遣して新政策のPRに努めているが、「何をやるのか」という肝心の部分についてはあいまいなままだ。
周辺国に対して経済的な攻勢を強める中国への対抗という意味合いも込められているようだが、詳細な中身が分からないことに米国内からも批判の声が出ている。
日本とも新たな枠組み作りの協議が今年の早い時期に始まる予定だが、いまのところ動きはなく、この新政策に気を取られていると、日米間で結ばれた「令和の不平等条約」が固定化されてしまう恐れも強い。
新政策の軸のコンセプトは
インド太平洋地域での「枠組み」
米国の通商政策で「枠組み」と言えば、クリントン政権時代の「日米枠組み協議(US-Japan Framework Talks、日本名・日米包括協議)」を思い出す。
実質的には日本の市場開放をめぐり「数値目標」まで導入した保護主義的色彩の濃い通商政策だったが、今回の「枠組み」の持つ性格は当時のものとはだいぶ異なるようだ。