Photo: PIXTA中国の人々にとって、春節は故郷へ帰り家族を思う季節だ Photo:PIXTA

2月1日は春節、いわゆる旧正月。中国・中華圏ではもっとも重要な祝祭日であり、遠く離れた故郷へ大移動が起きるのがこの時期だ。皆が故郷や家族を思うこの時期に、家族を求めたある少年のニュースが人々の耳目を集めた。(フリーランスライター ふるまいよしこ)

春節、中国人が故郷に帰り、家族を思う季節

 2月1日は春節、中華圏では正式な寅年の始まりである。中国ではこの日を故郷で過ごすために、死者すら出る「殺人的」帰郷ラッシュが毎年展開されてきた。

 春節は中国人にとって家族とともに過ごす正月というだけではなく、かつては大事な意味を持つ祭日シーズンだった。日頃は外地で暮らす妙齢の娘、息子を持つ家族は彼らの帰郷とともに、親が目をつけておいた相手とのお見合い、結婚という人生儀式をすべてこの休み中に執り行うという習わしもあった。土地に根ざした文化を重視する農耕民族らしく、日頃はめったに顔をそろえられない親戚縁者が一挙に集うタイミングをフルに活用する習慣が根付いたらしい。春節が農閑期であるために昔は前後約1カ月の長い休みを取るのが普通だったという理由もある。

 今年は新型コロナウイルスのパンデミックが始まって3回目の春節となる。政府はこれまでずっと「就地過年」(現住地での年越し)を呼びかけ、実際にその呼びかけに応じて昨年度は約1億人が里帰りを我慢したそうだ。だが、さすがに3年目ともなるとしびれを切らした人も多く、昨年比で延べ3億人多い人たちが里帰りするとされる。それでもコロナ前に比べれば、延べ18億人少ないそうであるが(ただし、コロナ前の数値には国内旅行者も含まれている)。