海外旅行ガイドブックの決定版『地球の歩き方』から、今回紹介する記事は「石川県・小松の歩き方」です。ジャパンクタニとして世界に知られる色彩鮮やかな九谷焼。その原料となる花坂陶石の産地、石川県・小松には、いにしえからの石の文化とものづくりの伝統が息づいています。2016年には、その歴史と文化が日本遺産に認定されました。今回はそんな小松で訪れてみたいスポット、進化する石の文化を伝えていく人々に出会う旅に出かけてきました。(取材・文/植木孝〈地球の歩き方〉 写真/上田順子 取材協力/小松市 写真協力/農口尚彦研究所〈*印〉)
小松で最初に訪れたのは観音下(かながそ)町。JR小松駅前から南東の山間に向けて車で20分ほど。観音下の集落の中を少し歩くと、目的地の観音下石切り場にたどり着きます。この石切り場の歴史は大正初期に始まります。黄色味を帯びた観音下石は、防火性に優れカビにも強い性質から、国会議事堂をはじめとした日本の近代建築に使用されました。また一般家庭においても石塀や門などに広く活用されています。