保険ラボ

ほけんの窓口の株式を
76.21%保有する伊藤忠商事

 大手商社の中でもとりわけ業績が好調な伊藤忠商事。その伊藤忠にあって、この先、DX(デジタルトランスフォーメーション)やデジタル化の伸展でさらに業績が伸びそうなのが情報・金融カンパニーであり、そこに属する金融・保険部門だ。

 その金融・保険部門の直近6年の損益の推移を表したものが下のグラフだ。一過性の損益が含まれてはいるものの、グラフにある通り右肩上がりの成長となっている。

 もっとも、過去には苦しい時代があった。2000年代前半はコンシューマー・ファイナンス事業において過払い金返還請求による大幅な赤字を計上し、全社決算にマイナスの影響を与えた。いったんは持ち直したものの、その直後にリーマンショックに見舞われ、再び赤字に転落してしまった。

 その結果、金融・保険部門は解体。海上保険等の保険仲介業を手掛けていた保険部門は物流部隊と一緒になるなど、事業部の一つのような扱いとなったという。その後、金融と保険はそれぞれ業績が回復し、15年に再結成。この時の保険部門の目玉の一つが再結成の前年である14年に行った、ほけんの窓口への投資だった。

 その当時、窓口は混乱の最中にあった。伊藤忠が窓口に投資した前年、窓口の創業者であり、来店型保険ショップというビジネスモデルを作り上げた今野則夫氏が消費税法違反で起訴されて社長を退任する事態となった。

 窓口の社内は混乱していたものの、来店型保険ショップのビジネスモデル自体は絶好調。そこに目をつけたのが伊藤忠であり、現在、金融・保険部門長を務める川内野康人氏だった。当時の窓口の株主は個人やファンドなど約160名に上ったが、ファンドの償還に応じるなどして株式を取得。14年7月には窓口の発行済株式のうち24.2%を保有し、持分法適用会社とした。

 その後、窓口の業績が伸びるのに合わせ、伊藤忠の株式持分比率も上昇。現在では、76.21%を保有するに至っている。

 その窓口の業績は20年頃までは順調に伸びてきたが、新型コロナウイルスによる業績への影響は大きく、今期は厳しい状況が続いている。それは他の保険ショップも同様で、コロナ禍で減った来店客数が回復していないのが大きな要因だ。

 そこで、窓口の取締役でもある伊藤忠の川内野氏に、足元の状況と今後の方向性を聞いた。