たとえば、上司や社外の人に自分のミスを報告するとき、「すみません」や「ごめんなさい」を使っていては子どもっぽく、ぞんざいな印象を与えかねません。やはり、社会人ならば「申し訳ございません」を使うのが適当です。
このように、言葉に対する微細な感覚を、筆者は「語感力」と呼んでいます。たとえて言えば、同じ「お米」でもブランドによって味や食感が違うように、言葉にも「ニュアンス」や「感じ」の違いがあります。それを理解して言葉を使うのと使わないのとでは大きな差が出てしまうことになります。
もしかすると、上司や取引先は、あなたが普段何気なく使っている言葉を耳にして、「あんなぞんざいな言葉遣いをする人間に、大きな仕事は任せられない」とひそかに不信感を募らせているかもしれません。
あなたが使う言葉には、あなたがこれまで培ってきた知性、教養、品性、性格、考え方などすべてが宿ると言っても過言ではないのです。
「言葉選びのセンス」は
ビジネスでも必須の要素
どれだけ言葉を知っていようと、そのシーンに最適な言葉を選び出して発言するセンスがなければ、はっきり言って宝の持ち腐れです。一流のビジネスパーソンは、「同じ意味でも、この状況ならこの言葉を使うのがベストだ」と常に神経を尖らせています。
言葉の感覚を磨く、すなわち「語感力」を鍛えるのは、ビジネスでも必須の要素です。
しかし、それは「怒られないため」という消極的な理由からではありません。
いつか、自分が人の上に立って指導したり、会社を牽引する立場になったときにも、必ず役に立つことだからです。
「君の仕事には感心したよ」と言うか、「君の仕事に感服したよ」と言うかで、部下は自分がどれほど褒められたかに、感激の度合いを色濃く読み解くのではないかと思います。
「感心」は、「君がそこまでできるとは思わなかった!」程度のことに取られる褒め言葉です。
これに対して「感服」は、「心から、君の立派な仕事ぶりを尊敬して感動するよ」という「心服」の意味をも添えた深い褒め言葉なのです。
相手のやる気を引き出し、いい仕事をしてもらうためにも、「語感力」はなくてはならない「言葉の武器」なのです。