住宅におけるエネルギー消費が
総消費量に占める割合(2020年)

住宅におけるエネルギー消費が総消費量に占める割合(2020年)出所:国際エネルギー機関

 脱炭素社会の実現には桁違いのお金がかかる。巨額の設備投資など企業の負担ばかりに注目が集まっているが、個人が普段の生活を通じて住宅で排出する炭素も膨大な量だ。この削減を図るには住宅改修など大きな負担が家計にも生じることを覚悟すべきだ。

 世界のエネルギー最終消費の部門シェアを見ると、住宅における消費は22%に上る。運輸部門(26%)やそれ以外の産業部門(26%)と並ぶ高いシェアで、商業施設などの非居住用の建築物(8%)よりはるかに量が多い。

 住宅におけるエネルギー消費の大半は暖房や給湯、調理によるものだ。使用する電力を発電する際の間接的な排出量も含めると、住宅で排出される温室効果ガスは全体の17%を占める。これを大幅に削減しないと2050年までのカーボンニュートラルという目標は、達成できないことは自明だ。