2020年はコロナ危機で大変な1年だったが、2021年も引き続き、ウイルスの感染拡大が経済の足を引っ張る可能性が高い。だが水面下では、コロナ危機を超えるインパクトをもたらす大きな変化が始まっている。それは全世界的な脱炭素シフトである。(経済評論家 加谷珪一)
脱炭素への支出はコストか
それとも投資か
脱炭素の主役が再生可能エネルギーであることは論を待たないが、再生可能エネルギーと情報技術(IT)は切り離せない関係にある。コロナ危機の発生は、テレワークなど社会のIT化を推し進める原動力となっているが、偶然にもコロナ危機によって社会のIT化が促進され、そこに脱炭素シフトという大きな流れが加わった。2021年の経済について考える際には、「コロナ」「IT化」「脱炭素」この3つのキーワードを常にセットにする必要があるだろう。
菅義偉首相は2020年10月、就任後の所信表明演説において、「2050年までに温室効果ガスの排出量を実質ゼロにする」方針を表明した。安倍政権は「2050年までに80%削減」という極めて緩い目標しか掲げていなかったので、これは劇的な方針転換といってよい。
全世界的な脱炭素シフトの目的は地球環境保護だが、それだけが理由であると考えるナイーブな人はもはや少数派だろう。