ラグビー協会からの内容証明郵便

――本の中で「おっさん化」「オバハン化」は老若男女共通の病理であり、特徴として「上司や目上の人の前では平身低頭。しかし部下や下請けなど立場の弱い人間にはとにかく高圧的」「部下や若手からの提案に対しては『リスクが大きい』『誰が責任を取るのか』と否定から入る」「『アレオレ詐欺』の常習犯」など複数が挙げられています。

谷口 無自覚に「おっさんという病」に侵されている人も結構いると思う。まず気づいてもらった方がいいなと。びっくりしたのが、本を読んで「俺ってもしかしてこういうおっさんになってるかも?」と省みている人が周囲にも結構いたことですね。

 若い人や女性など、組織の中でやりづらさを感じている人の言語化にもつながればいいと思っています。

――本の中で何度か、嫉妬という言葉が“男へん”ではなく“女へん”であることに疑問を示されています。それほど「おっさん」からの圧が……。

谷口 新リーグの審査で、自分の家族と関わりのあるチームを優遇したかのようなうわさを流されまして。私は息子がラグビーをやっていて、その世界に入るかもしれないのに、冤罪(えんざい)、ぬれぎぬを着せられたままというのは許せんなと。

 自分さえ黙っていたらとか、立つ鳥跡を濁さずみたいな考え方もあると思うんですけれど、黙った方はなんらかの被害は受けるので。

――週刊誌の取材があっても、審査の詳細を外部には話さずにいた谷口さんが考えを変えたのは、ラグビー協会から「協会内で知り得た情報を口外すれば法的措置を含む断固たる措置を取る」と内容証明郵便が届いたからと、本書にはあります。

谷口 秘密保持契約というのは、ライバル会社への情報漏洩(ろうえい)などを防ぐためであり、自分たちが後ろめたいことを黙らせるために秘密保持契約を持ち出すのは、目的外だと思うんですよね。

 この本が出た後に「組織の中にいる間にやれよ」とコメントした人がいるけれど、中でも十分やってきた。けれど、みんながスーッと無視した状況で、どうしようもなかったんやっていうところはあります。