オミクロン株感染に対する基本的な漢方処方

 オミクロン株の感染者は、高齢者や基礎疾患などをもつハイリスクの人を除くと、「鼻汁」「頭痛」「倦怠感」「くしゃみ」「喉の痛み」の5つが主症状といわれています。

○感染初期で、鼻汁やくしゃみなどの上気道炎に留まっている場合

【症状】37.5℃以上の発熱、せき、鼻汁・鼻閉(鼻づまり)、くしゃみ、頭痛、関節痛

【処方例】「麻黄湯(まおうとう)1包+越婢加朮湯(えっぴかじゅつとう)1包(発汗するまで1.5~2時間おきに1~2回)」または、「桂枝湯(けいしとう)1包+麻杏甘石湯(まきょうかんせきとう) 1包 (発汗したあと2時間おきに3回)」

【仕上げ】強い初期症状がおさまったあと、「桂麻各半湯(けいまかくはんとう)1回1包(1日3回 3~7日間)」と「補中益気湯(ほちゅうえっきとう)1回1包 (1日3回 3~7日間)を服用すると、通常の状態にソフトランディングさせるうえで有効です。なお、桂麻各半湯は医師の処方箋が必要なので、市販の漢方薬を使用する場合は、麻黄湯1包と桂枝湯1包を混ぜて、これを1日量とし、3分割したものを1回分として、1日3回、3~7日間服用します。

【備考】オミクロン株の感染初期にみられる症状に対し、基本的にはすべて「麻黄湯」だけでも治療可能です。ただし、発熱が認められる場合には、上記のように「麻黄湯+越婢加朮湯」または「桂枝湯+麻杏甘石湯」の使用をおすすめしています。前者は発汗のないとき、後者は発汗がみられてから使います。最初から発汗している場合は、前者はスキップします。

オミクロン株の感染者に多く見られる諸症状に対する漢方処方

 オミクロン株の感染者は、従来株のような「味覚症状」「下気道炎症状(気管支炎、肺炎)」が少ない傾向にある半面、「喉の痛み」「吐き気」「寝汗」「倦怠感」の訴えが多いといわれています。

○喉の痛みが強い場合

【処方例】プレドニゾロン(新薬・副腎皮質ホルモン薬) 20~30mg  1日1回(よくなるまで1~3日)

【備考】病院にかからないで治したい時には、「桔梗石膏(ききょうせっこう) 1回1包 1日3回 4~7日分」

○吐き気が強い場合

【処方例】五苓散(ごれいさん)1回2包 頓服