「デスクがエアコンの吹き出し口に近い位置だと、冷房にせよ暖房にせよ、効きが強すぎると感じるでしょうし、遠すぎれば物足りなく感じます。また、出入り口付近や窓際の席などは、他と比べて寒さを感じやすい場所です。もしも不満を感じるデスク位置の場合は、なかなか苦しい思いを強いられるでしょう」

 さらに、感染症の拡大を防止するために進められた「新しい生活様式」も、より寒さを感じさせる一因になっている。

「ローテーション勤務などで、オフィスに大勢の人が集まらなくなりました。人口密度が下がったせいで体感温度まで下がったように感じる人は、意外と多いと聞きます。私たちが思っている以上に、人口密度の高さは室内の温度を左右するようです」

 出社人数に制限を設けるのは、出勤時や社内における、人の「密集」や「密接」を避けるためだ。

 加えて、換気の問題もある。

「オフィスにいる従業員の数を減らして『密集』と『密接』を防げても、『密閉』に関しては頻繁な換気が必要です。換気のため、こまめに窓を開けて空気の入れ替えをしたり、終日一部の窓を開けっ放しにしたりする職場もあるでしょう。そのせいで冷たい外気がオフィス内に入ってきやすくなり、やはり感染症流行前よりも寒さを感じる人が増えているそうです」

デキる上司は
部下の気持ちを代弁

 今年は例年に比べ、冬場のオフィスにおける寒さ問題が深刻度を増している。暖房温度を上げたい人は多いだろうが、なかには「適温だ」「ちょっと暑いくらい」と感じている人もいる事実は、忘れてはいけない。

「たとえば『窓を開けているし、みんな寒いはず』と決めつけて勝手に温度を上げるのは、暑がっている立場の人をおもんぱかっておらず、マナー違反です。空調の温度や風量は、必ずオフィスの人たちにひと声かけてから操作するようにしてください」