では、アメリカのジョブ型雇用とはどういう制度であるのか、そして、それを支える社会の仕組みはどのようになっているのかを見ていきたいと思います。

 今後の「仕事とキャリア」を考えるうえで、大いに参考になるに違いありません。

ジョブ型雇用では
社員は「3つの階級」に分けられる

 アメリカの「ジョブ型雇用」の説明をしていく前に、まず、アメリカの雇用がどのような構造になっているかを見ていきましょう。

 アメリカの雇用は、ピラミッド型の3層構造でできています。

 一番上は、上級職員です。経営、企画、管理等の職につき、二番目に位置する中級職員に命令を下す人たちです。アメリカでは、上級職員は「エグゼンプト」と呼ばれています。

 彼らが行なう仕事は、時間を掛ければ成果が出るというものではないので、労働時間で管理されることはなく、残業代も出ません。彼らの給与は月給制や年俸制で、雇用契約を結ぶ時に、上司と上級職員が交渉して決まることになります。

 アメリカでは、事務系ならMBA、技術系なら工学修士の肩書を持った人が応募資格を持つ職位となっています。

 この上級職員レベルの人達は、将来の幹部候補生たちです。上昇志向が強く、大変よく働きます。

 彼らは、数年おきに多様な職務を経験しながら昇進していきます。財務部門の幹部候補生なら、本社で会計業務をやり、次は税務を学んで、最後に海外法人のCFO(最高財務責任者)もやって、本社に戻ってきてマネジャーやダイレクターのレベルに昇進していくというイメージです。