三番目がブルーカラー労働者です。彼らは、時間制で働き、給与は、その担当するジョブによって決まっている日給や週給をもらいます。アメリカ映画を見ていると、工場労働者がペイデイと言われる給与が支払われる日を楽しみにしているシーンが出てきますが、それがまさにこのことです。

 義務教育卒、高校卒の者が多く、中級職員への昇進のチャンスは限られています。時間制で働いていますので、残業をすれば残業代が時間単位で支払われます。しかし、中級職員同様、査定で大きな差をつけられることはありません。

中級職員が同じ社内で
上級職員に上がるのは難しい

 アメリカでは、こうした3層構造がハッキリとあるお陰で、各レベルの職務がかなりの程度標準化しています。

 たとえば、製薬会社に勤める財務専門の上級職員は、自動車や菓子を製造する会社の財務ポストに転職していけます。中級職員であっても同じで、他社の中級職員の同じようなポストに転職していくことは容易です。

 しかし、中級職員が同じ会社の中で上級職員に上がるのは容易ではありません。

 私の経験してきたことを振り返ってみると、欧米の企業の人とビジネスをしていると、中級職員の中で夜間MBAコースに通っているという人、大学を出た後に中級職員として2、3年勤務した後に退職して大学院に通い直す人に出くわすことがありました。これは職位の高いポジションを手に入れるために、上級職員へのパスポートである学歴を手に入れるためのものでした。

 こうしたピラミッド型の3層構造が、雇用の基本形であり、欧米では、今もそれが残っています。日本のように、上級職員と中級職員の垣根が消えてしまった世界とは違っています。