【数字から保険を読む】#14 アクチュアリー、正会員は【1931人】

数理業務の専門家である
アクチュアリーとは

 アクチュアリー。保険会社や信託銀行の社員であればほぼ全員知っており、それ以外の金融機関に勤めていても近年は知っている人が増えた。

 しかし、知っていたとしても、その多くは「難しい数式を駆使する少し変わった人たち」くらいの知識しか持ち合わせていないだろう。他の資格と違い、アクチュアリーになるための試験対策としての講習会も数えるほどしか開催されておらず、漠然とした興味を抱いても、詳細について知ることができる機会はあまりない。

 それでは、アクチュアリーとは何であろうか?どのような人がアクチュアリーと呼ばれ、どのような仕事をするのか?以下、全体像を説明していく。

アクチュアリーとは

 アクチュアリーとは端的に表現すると、将来の不確実性というリスクに関する数理業務の専門家である。主に確率や統計の知識を使ってリスクを評価し、保険会社における保険料や責任準備金、信託銀行における年金の計算を行うなど、専門性が高い職種といえる。

 もともと生命保険が発祥の資格といわれており、日本よりもむしろ欧米諸国において有名であり、米国において「将来なりたい職業」の第1位に選ばれることもある。

 日本においては生命保険会社に最も多くのアクチュアリーが在籍し、次いで損害保険会社、信託銀行の順である。業務的にも、生保、損保、年金の3分野に密接なつながりを持っている。

 ところで、保険業法第120条(保険計理人の選任等)によると、生命保険会社および自賠責保険・地震保険以外の保険を引き受けるすべての損害保険会社は取締役会において保険計理人を選任しなければならないと定められており、保険計理人は所定の数理業務に関与して意見書を作成することになる。

 保険業法施行規則第78条(保険計理人の要件に該当する者)によると、保険計理人になるためには公益社団法人日本アクチュアリー会(以下「日本アクチュアリー会」)の正会員であり、一定の実務経験を有することが要件とされる。

 また、厚生年金基金制度や確定給付企業年金制度などにおいて厚生労働相に提出する書類には年金数理人の確認が必要なものがあり、こちらも日本アクチュアリー会の正会員であることが認定要件の一つである。