「了解」はダメでも、
「諒解」だと敬意が伝わる

 前回も少し触れましたが、学生にメールで連絡をすると、ほとんどの場合「了解です」と答えが返ってきます。

 返事をしてくれないよりはありがたいのですが、筆者は、就職を控えているのだから、「了解」と使いたいなら「諒解」と書くようにと指導しています。

 それは、「了」の本来の意味が、あまりいいものではないからです。

「了」の字は、ものがねじれた形を表しています。

 終結する、悟るといった本来の意味のほかに、この字そのものに、垂れ下がる、もつれる、という状態を表す意味合いが含まれていました。また、「子」という字の「両肘がない状態」を表しているともいわれます。

 衣服がだらりと下がっている状態のことを「了鳥」と言ったり、あるいは、男性の陰茎そのものを、その形状から「了」と書き表したりすることもあります。

 いずれにしても、せっかく「物事を理解しました、わかりました」とお伝えしたいときに、わざわざ使わなくてもよい漢字ではないかと思うのです。

「はじめに」でも書きましたが、「了解」は軍隊で使われるような言葉ですから、ビジネスの現場や、学校で使うのはふさわしくありません。

 どうしても「りょうかい」という言葉を使いたいのであれば、意味はまったく同じですが、漢字の異なる「諒解」を使うことをお勧めいたします。

 たとえば、「次の授業の発表が『史記』についてとのこと、諒解いたしました」と表記すれば、「承知いたしました」「かしこまりました」と同様に、「わかりました」のていねいな言い回しとして安心して使うことができます。