コロナ禍で、他人との距離に敏感になった方も多いのではないでしょうか。ソーシャルディスタンスもコロナ禍でクローズアップされた概念です。今日はそんな人と人との「間(ま)」、エグゼクティブな「間」の取り方についてです。(CCI代表取締役・元国際線チーフパーサー 山本洋子)
ビジネスにおける適度な距離感とは?
一言で「間(ま)」といっても、さまざまな解釈があります。「間(あいだ)」と読めば、空間や間隔を意味し、「間(ま)」と読めば、行動のリズムやテンポをイメージします。他人との物質的な距離感や自分の行動の「間」などいろいろな解釈があります。
物質的な距離については、相手と自分の間にできる目に見えている距離です。例えば、商談などで人と対面でお会いするような場合、適度な距離を保って会話をしないと「この人、やけに近づいてくるなぁ」と不快な気持ちや違和感を持たれます。
逆に不自然に距離が遠すぎても、「私のこと、嫌いなのかなぁ」とか「何か気に入らないことでもあるのかなぁ」などちょっと寂しい気持ちになったり、猜疑心を持ってしまうものです。
これは、社会心理学のパーソナルスペースという概念です。アメリカの文化人類学者エドワード・ホール博士が提唱した相手との関係と距離を分類したものですが、人とコミュニケーションを取るとき、相手が自分に近づくことを許せる範囲を距離で示しています。
一般的に、親しい間柄では45~120センチ、ビジネスシーンにおける上司や同僚、取引先の相手との距離は120~350センチが適切な距離といわれています。会議や打ち合わせなど机越しに行われる距離です。
相手との距離は、自分ではあまり意識していなくても、知らず知らず相手に不快感を与えているかもしれないので注意が必要です。
私も機内でお客様と会話をしているとき、けげんそうな顔をされたことがあります。
フライト中は常にエンジン音が響き、騒々しい環境なので、お客様の声が聞こえにくいことが多々あります。お客様のおっしゃることを何度も聞き返すのは失礼に当たるので、声がよく聞こえるよう自然とお客様に顔を近づけて話していたのです。それに対し、自分の縄張りに私が入り込んだと感じられたのでしょう。明らかに不快な表情を浮かべられたのです。心理的な縄張りは人によって違いますので、ビジネスシーンでは特に注意が必要だと改めて感じた出来事です。