「長時間のイヤホンの使用で、耳や聴力に問題が起きる可能性は十分にあります。考えられる病気は主に2つ。一つは、耳の入り口から鼓膜までの外耳が炎症を起こす『外耳炎』です」(老木氏、以下同)

 外耳炎の症状は、耳の痛みやかゆみ、耳から液体が出る耳漏などだ。耳鳴りが現れる患者もいるという。

「外耳炎は、外耳の形に合わないイヤホンを長時間使い続けると発症しやすい病気です。イヤホンが適切に耳の穴にフィットしていないと、一部にだけ圧力がかかってしまい、炎症の原因になります」

 現在、一般的に使われているイヤホンの主流は、耳栓のように耳の奥まで入れ込んで使う「カナル型」と、耳の穴の入り口付近に引っ掛けて使う「インナーイヤー型」の2種類。このうち、特に「カナル型」は注意が必要だ。

「サイズが合っていないのに強引に押し込んで使い、外的刺激が起きるケースが、外耳炎の原因として多いです。イヤーピースは大きすぎても小さすぎても外耳にダメージを与えます。カナル型のイヤホンを使うのであれば、イヤーピースが外耳の形にぴったりフィットするサイズのものを選び、優しく装着するのが理想です」

使用時間は最長3時間
イヤホンはまめに掃除を

 ぴったりフィットするイヤーピースといっても、果たしてどれが自分の耳に最適なのかは分かりにくい。老木氏も「100%自分に合うものを既成品の中から見つけるのは至難の業」とこぼす。

「特にシリコン製のイヤーピースは軟らかく、フィットしていると感じやすいでしょう。しかし、少しの差によるダメージが積み重なっていけば、外耳炎を引き起こす恐れもあるのです」

 個々人に合うイヤホンが簡単には見つけられないとなれば、耳のトラブルを防ぐために最も注力すべきは、正しい使用方法を守ることといえるだろう。