「使用時間は、長くても2~3時間にとどめましょう。2~3時間ごとに、イヤホンを外して休憩する時間を20~30分は設けてください」

 また、イヤホンのこまめな手入れも、外耳炎予防につながる。

「イヤーピースやイヤホン自体が汚れていると、菌が繁殖し、炎症だけでなく、皮膚の疾患などにつながるリスクもあります。イヤーピースはシリコン製であれば水洗いや水拭きもできるでしょうから、できれば毎日洗うのがベストです。デリケートな部分に触れているという意味では“下着”と同じように捉えると、毎日ケアをする意識が湧くと思います」

 イヤホン本体に汚れが付着している場合は、説明書をよく読み、製品に合った手入れをしよう。

「こまめな掃除は、雑菌が増えないように清潔な状態を保つだけでなく、よく聞こえる状態を保つためにも重要です。汚れが付着しているとその分聞こえが悪くなり、必要以上に音量を上げてしまいやすいのですが、これが二つ目のトラブルである『難聴』の原因になります」

 たとえば、ロックのコンサートやディスコの帰りに、耳が聞こえにくくなった経験がある人はいないだろうか。このように長い時間大音量を聞き続けると聴力に影響を及ぼすことは古くから知られており、イヤホンを使用して日常的に大音量で音を聞いていても、同じような症状が出るという。

「イヤホンでは、ロックやディスコのような大音量ではなく、小さめの音でも長時間聴き続けると難聴に見舞われることが知られています。イヤホンの音量は外からの環境音が聞こえる程度に設定し、やはり長時間の使用ではまめに休憩をはさむように推奨されます」

耳の聞こえに違和感があれば
早めに耳鼻科で受診すべき

 イヤホンの不適切な使用が招く疾患は、すぐに聴力が完全に失われるほど危険性は高くない。だからといって油断は禁物だ。

「一度下がってしまった聴力が回復するかどうかは、患者の体質と、聴力低下の原因によって決まります。難なく日常生活が送れるレベルまで回復する人もいれば、半分くらいまでしか戻らない人、なかにはまったく戻らない人もいるのです。最悪の事態にならないためにも、違和感があれば早めに耳鼻科を受診してください」