スターバックス元CEOが「役職が上がるほどマネジメントノートが必須」と語る理由「スターバックスでは、お客さまにコーヒーを手渡す瞬間こそが『火花が散る瞬間』である」と語る真意は? Photo:Klaus Vedfelt/gettyimages

スターバックスやザ・ボディショップなどでCEOを務めた岩田松雄氏。多くの有名企業で実績を残してきた岩田松雄流の経営哲学を伝授します。岩田氏が「役職が上がるほどマネジメントノートが必須」と語る理由は?

情報の宝である有価証券報告書を
しっかりと読み込む

 私は複数の企業で社長を経験しましたが、社長に就任すると、まずは多くの経営資料を読み込みます。

岩田松雄岩田松雄(いわた・まつお)
リーダーシップコンサルティング代表。大学卒業後、日産自動車に入社。外資系コンサルティング会社、日本コカ・コーラ役員を経て、ゲーム会社・アトラスの社長として3期連続赤字企業を再生。その後に社長を務めたイオンフォレスト(ザ・ボディショップ)では売り上げを約2倍に拡大させる。2009年、スターバックス コーヒー ジャパンCEOに就任。2011年、リーダーシップコンサルティングを設立。著書に『新しい経営の教科書』(コスミック出版)など。 Photo by Teppei Hori

 例えば、上場企業であれば、有価証券報告書(有報)というのは情報の宝庫です。

 会社の中枢である経営企画や財務などの部門が、精魂込めて作った資料のため、これを数年分読み込むことで、かなりのことがわかります。

 有報には、実にさまざまな情報が書かれています。特に、時系列で数字を読み込んでいくと、売り上げや利益の推移、キャッシュはどれだけあるか、在庫はどうか、借入金の状況は?など、いろいろなことがわかってきます。

 各種の経営数値の推移や補足説明を丹念に読み込んでいくと、おかしな金融取引や債務の存在の有無までわかります。

 重要事項は全部開示しなければならないと法律で定められていますから、「え、こんなことまで書いてあるの?」という驚きもあります。例えば、スターバックス・ジャパンがアメリカ本社に払っているロイヤリティーの料率まで記載されていました。

 同じく上場企業であれば、「株主総会の問答集」を読むこともとても良い勉強になります。