「ブロックチェーン経済圏という限定的な市場」と申しましたが、すでに市場規模はそこそこの大きさで、しかも年々拡大しています。ブロックチェーンデータ企業CoinMetricsによりますと、現在はステーブルコイン市場は1400億ドル(約21兆円)。そのうち先述のUSDTとUSDCは、90%近い割合を占めています。



 以上から、デジタル通貨には日常生活における買い物で用いられる「CBDC」、資産としての側面が強い「暗号資産」、ブロックチェーン経済限定の「ステーブルコイン」という、三者三様の形があることが分かります。

パブリックとプライベート

 上記の三つ以外に、もう一つ別の切り口について確認することが大事です。それは、採用するブロックチェーンが「パブリック」か「プライベート」か、という点についてです。CBDC、暗号資産、ステーブルコインが縦軸(バーティカル)であるとすれば、パブリック・ブロックチェーンとプライベート・ブロックチェーンは横軸(ホリゾンタル)と考えられるでしょう。

デジタル人民元にステーブルコイン…デジタル通貨ラッシュを読み解く基本知識出典:クラーケン・ジャパン

 パブリック・ブロックチェーン型とは、管理者がおらず、世界中の誰もが許可なくブロックチェーンのネットワークに参加できる仕組みを指します。採用するのは、ビットコインやイーサリアムなど暗号資産やUSDC、USDTなどのステーブルコインです。そもそもブロックチェーンの起源には金融包摂(フィナンシャル・インクルージョン)というコンセプトがあり、国や企業に選ばれた者しか参加できない金融システムではなく、全ての人に開かれた金融システムの構築を目指しています。

 対照的にプライベート・ブロックチェーンは、管理者が存在し、ブロックチェーンのネットワークに参加できる人や企業を限定します。先日、三井物産が金連動の暗号資産ジパングコイン(ZPG)を発行すると報じられましたが、基盤となるのはビットフライヤーが開発するプライベート・ブロックチェーン「miyabi」です。また、JPモルガンが発行するJPMコインは、イーサリアムのプライベート・ブロックチェーンQuorumを基盤にするステーブルコインです。