最近では、重要性が落ちてきているものと思いますが、出身大学による評価の差も残っています。「あの人は東京大学出身だから仕事ができる」というものです。

 人事評価が社内の頑張りという極めて定性的なものですので、「東大出」という学歴のハロー効果(目立つ特徴に引きずられて、人物の評価がゆがめられること)が、入社後何年かたっても人事評価に影響を与え続けます。

専門スキルよりも
多くの部署を経験した人が有利

 メンバーシップ雇用の会社では、元々専門スキルを重視しているわけではなく、他部署の人と調整して波風立てずに話をまとめていくことが評価されています。それには、多くの部署を経験し、多くの人と一緒に仕事をしてきたキャリアの長い人が有利になります。

 この結果、生まれたのが「年功序列」です。会社内での経験を積めば積むほど、地位も給与も上がっていくという制度です。

 ですから、高校卒の社員の5年目の給与が、大学卒の社員の1年目となり、大学卒の社員の3年目の給与が、修士号取得者の1年目の給与となっています。

 もちろん、その後の昇進のスピードは、学歴によって違ってきますが、入社時には、こうして年功に基づく給与設定が行なわれています。

 年代別の賃金を調べてみると、賃金は50歳前後でほぼピークに達し、その後下がっていく傾向にあります。

 これは、日本企業における賃金が、年功序列という枠組みの中で、生活給という点を重視したため、子どもの教育費がピークに達する50歳前後に賃金が高くなるように設計されたからです。

 そして、退社は年齢で決められています。