地銀はデジタルマーケティングを広告代理店に「丸投げ」にするなPhoto:PIXTA

競争優位に立つための
二つのキーワード

 今回は、ある意味DXの核心ともいうべき「データドリブン」と「アジリティー」について、議論を展開したい。ビジネスで競争優位を勝ち取るためには、顧客や社会との接点を通じて課題やニーズを発見し、それらを解決する新たな価値提案を迅速に行うことが重要だ。だが、どのような価値提案が有効かを捉えることは難しく、また、そうした課題やニーズは時間の経過と共に変化してしまう。

 より良い価値提案のためには、経験や勘に頼るのではなく、①「仮説」としての製品・サービスをまずはスモールスタートで市場に投入し、②得られたデータに基づく市場の反応(フィードバック)を把握して仮説の検証を行い、③それらを製品・サービスの改善につなげる――というサイクルを迅速かつ繰り返し回す(データドリブン)。このようにして経営の俊敏性(アジリティー)を確保することが必要である。

 これまで地方銀行が行ってきたプロダクトアウトのビジネスを、顧客指向のマーケットインに変えていくことの重要性については前回述べた。その実践的な取り組みがデータドリブンである。しかし、その前提となる顧客のフィードバックデータの把握・検証について、現状、地銀が十分に行えているかというと、必ずしもそうではない。