サイバー攻撃演習に見る日本の“脆弱性”
酒井 東南アジアの新興国と比較して、今の日本に足りないものは何だと思いますか?
鎌田 私の演習では、参加者がイメージしやすくなるよう、インシデント対応現場の再現VTRを流すことがあります。実際にあった事件をもとにした自主制作です。東南アジアでは、冗談やユーモアを織り交ぜながら説明すると関心が高まります。しかし、日本では「こんなとぼけた社長が現実にいるわけがない」など、本筋から外れた指摘を始める人が現れるのです。
酒井 演出にマジレスされるとつらいですね。
鎌田 形式にこだわりすぎて、「仕事に遊びがあるのはいかがなものか」と気を取られているうちに、本質を見失ってしまうのです。もったいない。
酒井 DXにおいても、「DXとは何か」「それはDXではなく単なるデジタル化だ」などと、DXを正しく定義することにこだわり過ぎて先に進めない人がいますね。
鎌田 必要なのは、「案ずるより産むが易し」「行動せよ、さすれば道は開かれん」。まさにこういったマインドです。