酒井 「勤務時間に学んでもいい」とすることが一つの解決策になるでしょうか?

鎌田 「学んでもいい」だけでは、目の前の業務に追われて結局そういう雰囲気になりにくい。いかに社内制度や人事評価に組み込むかがポイントだと思います。ただ、本を読んでも知識が増えるだけで経験は増えない。さらにIT領域は変化が激しい。知識も経験も常にアップデートし続けなければなりません。

試合で勝ちたいけど、練習はしたくない。どうしたらいいですか

酒井 めちゃくちゃ大変ですね……。

鎌田 大変ですよ。でも、「サッカーの試合に出て勝ちたいけど、練習はしたくない、どうしたらいいですか」と言っているのが今の日本のDXじゃないですか。一生懸命練習した人が結果的に上手くなり、試合に出て勝てるようになる。普通はそうですよね。現状は選手をやったこともない人が、本を読んだだけでいきなり監督をやっているようなものです。

「試合で勝ちたいけど練習はしたくない」 これが今の日本のDX香港でのサイバー攻撃演習。手前のパソコン画面には怪しげな攻撃者の姿が Photo by Keisuke Kamata

酒井 「これから頑張る」という人は何から始めたらいいでしょうか?

鎌田 いろいろな製品やサービスを使ってみること。最低でもユーザーとしてのリテラシーを高めるんです。まずは、最先端の感覚を持ったユーザーになれているかを一つの目安としてください。

 よりレベルアップを狙うなら、自分でネットワークを組んでみたり、サーバを立ててみたり、簡単なWebアプリケーションを作ってみたり、データベースと連携してみたり、そういうITの基礎を自分でやってみることです。一気に理解が進みますよ。