富士通はジョブ型雇用を
管理職1万5000人に導入

 富士通でも、ジョブ型雇用を全社員に導入する予定ですが、実はそれに先んじた取り組みをすでに始めています。

 富士通は、新型コロナが流行する前の2017年から、DX(デジタルトランスフォーメーション)対応のテレワークを実施していました。社員の40~50%が週1日のテレワークを利用するようになっていました。

 新型コロナが流行すると、社員の25%しか出社しないように上限値を設定し、テレワークをさらに推進しました。20年の緊急事態宣言の時に2ヵ月間、10~15%の社員の出社比率でテレワークをしたら、会議も顧客対応も問題なくできたので、オフィスの役割を見直すことになったそうです。

 すると、常時オフィスを利用するより、むしろ業務の目的に合わせて利用できるオフィス環境を用意したほうが、社員の生産性が上がるという結論になりました。こうして、オフィス面積を3年間で半減するという発表につながりました。

 ジョブ型雇用については、富士通では、20年度から管理職1万5000人を対象に導入しています。ジョブ・ディスクリプションは、外部のものを参考に、それを追加、修正する形で用意し、21年4月昇進予定の課長職を公募制にしました。

 ジョブ型は、アメリカで見られるように、上司が担当部署の収益に責任を持ち、要員計画、採用についても、自ら作成していくのが原則です。富士通でも、社内の各本部に要員計画の立案、人材採用の権限を委譲したそうです。

 人事部門は、これまでは人材を一括採用し、各本部に割り振っていましたが、その役割は、これからは各本部の課題を把握し、その解決策を提案するパートナーという位置づけに変わっていきました。

日立は日本の社員すべてが
ジョブ型人事制度に移行

 日立製作所では、グローバルにビジネス展開をしていたことから、外国人社員が増え、日本的人事ではもたなくなっていました。

 そこで、13年度から課長相当職以上の5万のポジションを、共通の物差しでグレーディングする「日立グローバルグレード」を導入しました。