同時に、日立グループの目標をベースに各部門の目標を決め、それをさらに下の組織の目標、個人の目標に落とし込む「グローバル・パフォーマンス・マネジメント」の制度も導入しました。さらに上司と部下の1on1ミーティングを行なうようにし、上司のアドバイスの下に、部下が自分のキャリア・プランを考えるような仕組みを作ってきました。

 そして、21年4月から、日立の日本にいる社員すべてがジョブ型人事制度へと移行することになりました。課長職以上のグレーディングシステムで経験を積んできたこと、さらにグローバル化が進み、日本だけ別制度を維持することは困難になったためです。

 職種、階層別にジョブ・ディスクリプションを導入するため、450種類のものを用意することになりました。同時に、社員のリスキリング教育(再スキル教育)、従業員のキャリア意識向上への取り組みを進めているそうです。

多くの企業がジョブ型雇用を
導入する大きな流れが来る

 以上見てきたように、日本の大手企業でも、ジョブ型雇用の導入が開始されつつあります。新型コロナの流行に対する対策としてのリモートワークの浸透が、ジョブ型雇用の導入を後押ししてくれているので、大きな流れとなりそうです。さらに多くの会社が追随していくものと思われます。

 しかし、日本企業で成果主義の導入が失敗したように、これが中高年社員の人件費圧縮の手段だとみなされてしまうようでは、うまくいきません。

 ジョブ型雇用を広めていくためには、それを導入することで、年齢が若くても有為な人材に大きなチャンスを与え、自己のスキルを花開かせるような事例を多数生み出していくことが望まれます。

 そして、彼らがグローバル・スタンダードの給与を取り、社員からのあこがれの存在になってこそ、ジョブ型雇用が日本企業に根づいていくのではないでしょうか。