ガソリン価格高騰による家計圧迫も
政府の「朝三暮四」と関連あり

 政府の政策にも、このような“朝三暮四”の仕組みがあります。今、ガソリン価格の高騰で話題になっている「トリガー条項凍結」もその一つです。

 もともとガソリン税には、原油価格が高騰したときにはガソリン税の上乗せ分を取らないというトリガー条項が存在していました。これを、東日本大震災をきっかけに凍結したのが「トリガー条項凍結」です。

 当時決めた仕組みは、こういうことです。

「震災復旧・復興のために、これからたくさんお金を使います。その代わりの財源として、将来ガソリン代が上がったときに取らない予定だったガソリン税は取りますからね」

 国会でそう決めたところ、当時の国民は喜んで賛成したのです。ところが、コロナ禍やウクライナ情勢の影響で原油高が進んでもガソリン税を支払わなければならなくなった。つまり、今になってガソリン代が下がらないことがわかると、立ち上がって怒り出すわけです。

 そして、ここからが怖い話なのですが、国民が受け取る年金にも“朝三暮四”の仕組みがインストールされています。