“子どものため”を思って生まれる
正反対の両者の主張

「子どもに高価なものは適切でない」とする意見の多くは、金銭感覚が狂うことを懸念しているようである。

子どものくらしとお金に関する調査(第3回)2015年度」を参考に、子どものお小遣いの相場を見てみると、だいたい小学生で500円、中学生で1000円、高校生で5000円となっている。

 小遣いを与える親には、「子どもがそこそこ存分に遊べるように」という狙いもあるが、「小遣いをやりくりする中で、お金の大切さや、(その親が思う)“まっとうな”金銭感覚を身に付けてほしい」という思いもある。

 節度ある額の月の小遣いをやりくりしていたはずの子どもに、いきなりブランド物の財布を与えるのは、小学生だけでやっていたドッジボールに、いきなり大人が乱入してきて全力プレーで無双するくらい、とっぴな風景である。ブランドの価値を分かっていない子どもに与えたら「ブランドである意味がない」し、ブランドの価値を分かっている子どもに与えたら「感覚を狂わせ」かねない。これが「子どもに高価なものは適切でない」と考える派の根っこにある考え方であろう。

 ここから派生して、「今ブランド志向にあると大人になってから苦労する」や、火種となった本家ツイートにも言及があった「ブランドを買うためにパパ活をする子が増えるのでは」といった心配の声が生まれている。

 一方、「子どもに高価なものは適切である」(正確には「子どもだから高価なものは適切ではない」とは言えないくらいのトーン)とする考えにはさまざまな切り口が見られた。

「子どもの頃から高価なものを身近にすることで審美眼が養われる」「高価なものを使うことで、物の大切さを一層学ぶのではないか」「下手に安物を買うより、高価なものを買った方が長持ちするし結果的に経済的である」などである。

 さらに「男の子は同額くらいのゲーム機を買ってもらっているはず」「周りが持っているなら買ってあげるべきでは。それがバッグでなくスマホなどの、クラスメイト間でさらに一般的なアイテムであったなら、持たないと疎外感から人格形成が大きくゆがむおそれアリ」などの声も聞かれた。