現時点での値上げより怖いのは、年後半のウクライナ関連の影響

 相次ぐ値上げを見て「これからは外食が上がるのでは」と案じてきたが、どうもその通りになってきている。

 まず、マクドナルドが3月14日より一部品目で10~20円の値上げをした。さらに驚いたのが、コンビニも値上げに踏み切ったことだ。セブン-イレブンは、サンドイッチのパン生地や具材等の刷新とともに、価格も5~12%程度引き上げた。ローソンも、おにぎり、寿司、調理麺、調理パン、サラダの一部商品を2~14%の値上げに踏み切った。たまごサンドは228円から246円と18円の値上げだ(税込み価格)。ランチを、コンビニおにぎりかサンドイッチで済ませているビジネスパーソンには痛い。

 さらに、輸入小麦粉から製造される中華麺やギョーザの皮への影響も気になるところだ。

 名古屋のソウルフードとして愛されてきたスガキヤも、4月から主なメニューを値上げすると発表した。ラーメンが330円のところ、360円へと30円の値上げだ。安さが人気の一つだったスガキヤが上げるとは、いよいよ感が強い。ファミリー層に人気のギョーザチェーンの動向も気にかかる。ラーメンギョーザ定食がプチぜいたくメニューになる日は遠くないかもしれない。

 しかし、この値上げはまだウクライナ侵攻が大きく影を落とす前だということを忘れてはいけない。年の後半こそ、外食チェーンの値上げが相次ぐのではないかと懸念している。

 もっとダイレクトに影響が出そうな食品もある。日本がロシアから輸入しているものといえば水産物だ。カニ、サケ・マス、タラの卵、ウニなどが上位に挙がる。食べ放題で人気のカニはほとんどがロシア産だと聞いたことがあるが、今後カニはメニューに並ばなくなるかもしれない。今でも口に入ることが少ないウニも、ますます縁遠くなりそうだ。

 原材料価格の他に、飛行機の領空乗り入れ制限でも影響が出てきそうだ。航空機がロシア上空を避けるため遠回りの航路を取らざるを得ず、輸送コストがかさむという話だ。むろん、エネルギー価格の上昇も大きな懸念材料で、二重三重に物流コストが重くなる。

 たとえ、ウクライナ侵攻がロシアの思惑通りに早期に終結したとしても、それで制裁措置が終わるわけではないだろう。ロシアへの制裁が長期になればなるほど、我々の食生活への影響も長引き、かつ重くなると覚悟したほうがいい。

 コロナ要因が解消すれば食品の高騰は徐々に収まるだろうという見方もあったが、まったく楽観できなくなった。メーカーも外食産業も「さらなる値上げやむなし」の判断にますます傾くのではないか。