価格据え置くメーカーがあっても、時間の問題

 庶民の生活もしんどいが、企業もしんどい。3月10日に、楽天と西友の楽天ポイントをめぐる新たな協業体制の発表会があった。その席で西友の大久保恒夫社長はこう発言した。「原材料高・原油高という現状だが、最大限の企業努力でPB(プライベートブランド)の店頭価格は極力上げないようにしたい。(PBである)『みなさまのお墨付き』は6月末まで価格凍結する」と、いわば決意表明した。

 先に書いたように、コンビニはPB価格の見直しに手を付けた。イオンはPB「トップバリュ」の価格凍結を3月末までとしている。イオンが延長するかはわからないが、「PBは値上げはしません」という姿勢にもいつか限界が来るだろう。

 ウクライナ情勢が長引けば長引くほど、国際的な商品の取引価格は上がり、インフレに向かうだろう。各食品メーカーが値上げの大合唱を続ける中で、PBだけが企業努力で無風というわけにもいかない。一気に値上げはないにしろ、一部商品からステルス値上げ(値段を据え置き、内容量を減らす実質的な値上げ)を含めてじわじわ上がっていくと予想する。このまま値上げが続けば、政府や日銀が目指してきた物価上昇率2%は、皮肉にも達成されるだろう。

 値上げもそうだが、そもそも消費への心理的悪影響もある。戦闘の映像がテレビやネットで繰り返し流されるうちは、のんきに旅行や買い物でお金をどんどん使いましょうと言われても盛り上がらない。本来は物価高に対応できるだけの賃上げが期待されてきたが、果たしてそうなるか。

 明るい材料が見つからない。

家族総動員で支出の点検を

 物価高への対策として、我々に何ができるだろう。

 残念ながらウルトラCや一発逆転ワザはない。4月の新年度で少しでも給料が上がることを期待したいが、まずは支出の総点検をしておこう。家族が利用している月額課金サービスを洗い出して不要なものは解約する。年会費がかかるのにあまり出番のないクレジットカードも整理したほうがいい。家族でも契約は個人事だ。一人一つは支出を見直すというルールを決めて、家族全員で取り組めば節約効果も倍増する。

 見直しで浮いたお金は家計費に回ることになるだろうが、できればその一部の数千円でも積み立てに回し、それを家族レジャーに使うのもいいだろう。節約継続のモチベーションにもなるし、ガス抜きにもなる。先が見通せない時代だからこそ、それぞれが協力し合って家計の困難を乗り越えるほかはない。