「ガクチカ」とは、「学生時代に力を入れたこと」を略した就活用語のこと。就活における定番質問であり、保護者世代もおそらく、ご自身の就活時に聞かれたことがあると思います。
ただ、この定番質問に「何と答えていいかわからない」と悩む学生が増えています。コロナ禍で学生生活がオンライン中心へと切り替わり、アピールできると思えるような経験を積めていない、というのが大きな理由です。今回は、この「ガクチカ」問題をどう捉え、どう向き合えばいいのか、解説したいと思います。
「ガクチカとしてアピールできる
体験がない」と悩む学生が増加
「コロナ禍によって学生生活の機会が奪われてしまった」と感じる学生は少なくありません。大学の授業はリモートになり、同級生との交流が断たれ、サークルに参加したりアルバイトをしたりする機会もぐっと減りました。そんな中で就活を控えた学生からは、「ガクチカとして、胸を張って答えられるような体験をしていない」と悩む声が上がっています。
実際、コロナ禍で学生生活は様変わりしています。ガクチカ問題に対して解説する前に、まずはこれから就活の準備を行うことになる2024年卒の学生(2020年入学)の現状を整理してみましょう。
2024年卒の学生は、入学時から
ずっとコロナの影響を受けている
就職みらい研究所が昨年9月に実施した「2020年入学 大学2年生の大学生活等に関する調査」によると、「大学の入学式が中止になった」と答えた人は全体の61.6%に上りました。日本におけるコロナの最初の感染者は2020年1月、第1回目の緊急事態宣言は2000年4月。24年卒の学生は、大学入学時からコロナの影響を大きく受けています。
「大学入学後に新しくできた人間関係は?」という質問には、「大学内の同学年の友人」との回答が82.8%と最も多く、次いで「大学内の先輩・後輩」「大学外の同学年の友人」という順に多いという結果になっています。
一方で、「大学入学後に新しくできた人間関係のうち、もっとも刺激を受けている関係は?」との問いに対しては、「大学内の同学年の友人」が半数を占めるものの、「どの関係からも刺激を受けていない」との声が24.3%と決して少なくない割合に上っています。学生や大学の声からも、コロナ禍を受け、人と人との関わりが希薄になっていることが推察されます。
調査結果の中で看過できないのは「大学生活の満足度」と「将来への展望」です。「大学入学以来の、大学生活の満足度」を聞くと、「満足」と答えた人が39.2%であるのに対し、「不満」が32.3%となっています。そして、「卒業後の進路を考えるときの気持ち」という問いには、「楽しい気持ち」と答えた人が27.4%であるのに対し、「不安な気持ち」が52.8%にも上っています。