これは初めて行った調査であり、経年変化を見ることはできないのですが、コロナ禍で学生生活が制限されている現状を受け、「学生生活が不満」「将来が不安」と感じる学生が一定数に上っていると見られます。
なお、「大学生活の満足度」は、「大学入学後に新しくできた人間関係」との相関が見られます。下図のように「大学生活に不満を持っている」人ほど、「どの人間関係からも刺激を受けていない」と答えている率が高いことがわかります。
また、「卒業後の進路を考えるときの気持ち」との相関も見られます。「大学生活に不満を持っている」人ほど、将来に対して不安な気持ちを抱いていることが見て取れます。
コロナ禍で大学生活を送る学生の多くは、さまざまな制約の中で不満や不安と葛藤しており、同時に将来への不安な気持ちが強い。キャリアへの展望を描きにくくなり、来たる就活にも影響を及ぼすことも考えられます。24年卒の学生も、今の就活生のように「不満や不安ばかりの学生生活の中から、何をアピールすればいいのかわからない」と悩むケースが増えると思われます。
企業と学生でギャップがある
「ガクチカ」の捉え方
ここで話を「ガクチカ」問題に戻しましょう。
コロナ禍で「企業にアピールできるような体験がない」と悩む学生は少なくありませんが、決してそんなことはありません。実は、企業側はガクチカを通して、「特別な体験」や「希少な経験」を知りたいわけではないからです。
実際、学生と企業では、「ガクチカ」の捉え方にギャップがあります。下のグラフのように、学生が面接などでアピールする項目の上位は「アルバイト経験」「人柄」「所属クラブ・サークル」となっています。しかし、企業が採用基準で重視する項目は「人柄」「企業への熱意」「今後の可能性」です。
すなわち、企業はアルバイトやサークルなどの経験そのものを知りたいわけではなく、ガクチカという経験からの学びを通じて学生の人柄や熱意、可能性を知りたいと思っているのです。
(出典:リクルート就職みらい研究所「就職白書2022年」)
今の世の中は、先行き不透明で予測が難しく、変化が激しい「VUCA」という時代にあります。今までの当たり前が通用しない中で企業が成長するには、変化に臨機応変に対応しながらイノベーションを起こし続ける必要があります。つまり、これからの企業に必要とされる力は、変化対応力、そして学び続ける力です。そうした能力を持つ学生が評価されることもあります。