丸井グループの元常務執行役員が、エポスカードを巡るビジネスモデル特許の発明対価を求めて古巣を提訴した。5月24日の第1回口頭弁論を前に、原告の瀧元俊和氏が、ダイヤモンド編集部の単独インタビューに応じた。特集『丸井 レッドカード』(全13回)の#10では、瀧元氏に訴訟の対象となる特許を発明した経緯や、法定で訴えていく主張について聞いた。(聞き手/ダイヤモンド編集部編集委員 名古屋和希)
後発でメインカード化課題
ポイント3倍のサービス考案
――今回の訴訟の焦点は、エポスカード社の社長時代に始めた「選べるポイントアップショップ」というサービスです。発明の経緯は。
2006年に発行を始めた「エポスカード」はクレジットカード業界では後発。先行している競合他社を超えるサービスが差別化の鍵でした。
年会費なしでゴールドカードを発行するなどの独自サービスもあります。目指していたのは、エポスカードを利用者が日常で使う「メインカード」にすることでした。
13年にエポスカード社の社長を務めていたときに、会員向けサービスをさらに拡充する必要があると考えました。
当時、どこの店舗でカードを使ってもポイントを2倍にするサービスを競合が手掛けていました。しかし、それではポイントの原資が途方もなく大きくなってしまい、エポスカードでは不可能だったのです。
そこで思い付いたのが、会員に選んでもらったお店やサービスの支払いのときだけ、ポイントを多く付与するサービスです。
試行錯誤の末、店を3カ所選べるようにして、そこでポイントの付与を3倍にする仕組みにすれば、ポイントの原資負担も限られ、効果的に利用してもらえそうだと分かりました。
取締役会でも承認され、選べるポイントアップショップのサービスがいよいよ始まるとなったときに思い付いたのが特許。せっかく考案した独自のサービスだったので、他社にはまねされたくないと考えました。
専門家に相談したところ、ビジネスモデル特許を取得できる可能性が高いことが分かりました。そこで、サービス開始前に特許出願し、認められたのです。
――この特許に関する特許公報を見ると、発明者には別の人の名前が記載されています。