丸井レッドカード#4Photo:Bloomberg/gettyimages,PIXTA

丸井グループ(G)の元役員が、エポスカードを巡る発明の対価を求めて訴えを起こした。元役員が古巣を訴える異例の展開となった一因には、職務発明に関する丸井Gの事前の備えが不十分だったことが指摘されている。丸井Gがはまった「わな」とは。特集『丸井 レッドカード』(全13回)の#4では、訴訟リスクを避けるためにビジネス関係者が押さえるべき職務発明の基本ルールをおさらいする。(ダイヤモンド編集部編集委員 名古屋和希)

職務発明は「社員のもの」
訴訟リスクへの備えとは

 会社の業務で社員が発明した製品や技術の権利は「社員のもの」か「会社のもの」か――。

 特許法は、こうした「職務発明」に関する規定を設けている。そして原則、職務発明の権利は社員のものと定めている。

 従って、規定に基づき、発明者である社員は職務発明に対する「相当の利益」を対価として、企業から得ることができる。この社員には役員などの立場の者も含まれる。

 丸井Gの元役員がエポスカードのポイントサービスに関する発明の対価を求めた訴訟も、同様の流れに沿ったものだ。

 元役員側は、「当時、(エポスカードの)社長の立場で、発明はカード業務に携わるという業務範囲にあたる」などと職務発明に該当するとした上で、「相当の対価を受ける権利を持つ」と主張。発明による対価は約90億円と算出している(本特集#1『【スクープ完全版】丸井G元役員がエポスカードを巡って古巣を提訴、異例の特許訴訟を最速解説』参照)。

 発明対価を巡る訴訟で、企業が巨額の和解金などを支払うケースは珍しくない。がん免疫治療薬「オプジーボ」の特許を巡っては、小野薬品工業が京都大学の本庶佑特別教授への解決金などの50億円と、京都大学への寄付を合わせ、約280億円を支払うことで昨年和解した。

 それでは企業は、こうした巨額訴訟のリスクにどう備えるべきか。実は、企業側が社員に訴えられるリスクを軽減することは可能だ。次ページからは、今回の丸井Gのような事態を招かないように、企業が押さえておくべき備えを紹介する。