笑顔でコミュニケーションするか、真顔でコミュニケーションするか。この差は、とても大きいといえます。

人の上に立つ人は、
やはり「聴き方」が違う

 たとえば、こういうことです。

 私は、広告関係の仕事をしていますが、仕事柄プレゼンをする機会が非常に多く、だいたい年間100回ぐらいはプレゼンをしています。

 現場の主任や課長クラスにプレゼンをする機会もあれば、経営層――役員や社長にプレゼンをする機会もあります。

 そして、この2つの層ではプレゼンの「聴き方」がじつに異なります。

 現場の人たちは、「真顔」です。そして、私の顔をあまり見ることはありません。基本的に企画書を見ているのが特徴です(もちろん、そうではない人もいます)。

 プレゼン終了後、上層部に内容報告をしなければならないため、彼らは、突っ込まれそうなところがないかの確認に余念がなく、表情にまで気を配る余裕はありません。そのためデフォルトの表情である真顔になってしまうのです。

 一方、経営層の人たちは、「笑顔」(微笑)です。そして、企画書はほぼ見ません。プレゼンしている私の顔を、微笑みながら、うなずきながら、見てくる人が多いのが特徴です。

 彼らは、経営トップですから、他の誰かに報告する必要はありません。最終的な意思決定を行ないます。

 だから、企画書の細部の説明を理解しようというのではなく、企画者である私の「熱意」や「本気度」を見極めようとしているのだと思います。だから私をリラックスさせ、乗せて、どんどん喋らせようとしているのです。