面白そうに話を聴く人とは
もっと話したいと思う

 実際に、あるとき、クライアント先の社長から、こんなことをいわれたことがありました。

「プロが考える企画なので、内容にはあまり口出ししません。それよりも、われわれのために本気で取り組んでくれようとしているのかどうかを見ています。だからできるだけ喋りやすい雰囲気をつくろうとしています。そうすれば、それが伝わってきやすくなるので。それで、この人は本気でやってくれる、そう思えたら、じゃあ、いっしょにやりましょうと、われわれはお金を出すんですよ」

 このように相手の熱意や本気度を引き出すのが一流の聴き方であり、戦略的な聴き方といえるのだと思います。

 ところが一方で、経営層の人の中には、ちょっとふんぞり返り気味になって腕を組んでプレゼンを聞くような人が一定程度いるのもたしかです。

 こういう相手は、経験上、非常にめんどくさい。

 なぜかというと、こういう自分をえらく見せたがるタイプは、最後まで人の話を聴けないからです。

 必ず何かいいたくなる。そして話をさえぎって、企画の本質とはあまり関係のないポジショントークをしてしまうのです。

 こうなると、話し手の熱意や本気度などを引き出すことは難しくなり、良好な関係を築けなくなります。

 繰り返しになりますが、われわれの表情のデフォルトは「真顔」だということを肝に銘じ、意識的に楽しそうな表情、面白そうな表情をつくることが大切です。

 人は楽しそうに、面白そうに話を聴いてくれる人と「もっと話したい」と思います。

 そして、そんな聴き方をしてくれる人を好きになります。

 それが、いい人間関係、いい仕事、いい人生につながっていきます。