特別料金は初診7000円
再診3000円に引き上げられる

 紹介状なしの大病院受診時の定額負担の対象病院は、これまでの特定機能病院(大学病院や国立病院機構など、高度な医療を提供している一定規模以上の病院)、一般病床200床以上の地域医療支援病院(救急患者の受け入れや、専門的な医療を提供している地域医療の中核的な病院)のほかに、「一般病床200床以上の紹介受診重点医療機関(特定領域に特化した治療や、高額な医療機器・設備を必要とする外来を行っており、患者の紹介率が一定以上の病院)」が加えられた。

 医科の特別料金の金額は、初診が2000円引き上げられ7000円に。再診は500円引き上げられ3000円になった。

 今回の改定での大きな変更点として、紹介状なしで大病院を受診した患者の医療費の一部が、健康保険の対象から除外される規定が設けられたことが挙げられる。除外される金額は、初診が2000円、再診が500円で、その分、医療費が減額される。つまり、引き上げられた特別料金に相当する金額が、健康保険の対象から除外されることになったため、患者の負担は若干増えるものの、医療機関の収入は増えない。

 たとえば、70歳未満(3割負担)の人が、紹介状なしで大病院を受診し、医療費が1万円だったケースで考えてみよう。

◆2021年度まで
特別料金:5000円
健康保険の患者負担分:医療費1万円×自己負担割合30%=3000円
患者負担の総額:特別料金5000円+自己負担分3000円=8000円
大病院の収入:特別料金5000円+医療費1万円=1万5000円

◆2022年度
特別料金:7000円
健康保険の患者負担分:(医療費1万円-2000円)×自己負担割合30%=2400円
患者負担の総額:特別料金7000円+自己負担分2400円=9400円
大病院の収入:特別料金7000円+医療費1万円-2000円=1万5000円

 患者負担の総額は、8000円から9400円になり、1400円増えるものの、大病院の収入は1万5000円で変わらない。

 前述のように、この制度は、大病院が近隣の中小病院や診療所などと連携し、患者を紹介し合って、医療の効率化・機能分化を図るために導入されたものだ。

 高度な医療が必要ないにもかかわらず、「大きい病院のほうが安心だから」「有名な大学病院に通いたい」といった理由で大病院を受診する患者には、本来なら近隣の中小病院や診療所を紹介するのが筋というものだ。それなのに、紹介状なしの患者が通ってくるということは、大病院が近隣の医療機関と連携する努力を怠っていることになる。

 にもかかわらず、患者から特別料金を徴収するのは、単に病院の収益を上げるだけになり、医療の機能分化を図るという本来の目的に寄与していないことになる。こうした批判から、紹介状なしで大病院に通う患者の医療費については、健康保険を一部適用しないことになった。いわばこれは「医療の機能分化を図る努力を怠る病院へのペナルティー」で、こうした規定を設けることで、地域の医療機関同士の連携を促すことになったのだ。