業界トップが社名から「ガラス」を外す惨状
慢性的な価格競争で自動車用は全くもうからず

 そもそも板ガラス事業は、建築用と自動車用に大別される。板ガラスは化学品などとは異なり、高付加価値品の開発で差別化することが難しい製品特性がある。近年は中国メーカーの猛烈な増産もあり、需給のバランスが崩れ慢性的な価格競争に陥っていた。

 国内で板ガラスを手掛けるメーカーは、セントラル硝子、AGC、日本板硝子の3強体制。経済産業省は15年に、産業競争力強化法による調査に基づいて国内板ガラス市場は供給過剰とし、この3社に対して過剰設備の削減を求める報告書を公表している。

 いずれの会社も板ガラスで収益の悪化に苦しみ、抜本的に事業にメスを入れることを迫られている状況だった。

 外資系投資ファンド幹部は、セントラル硝子の欧米事業撤退について「これはまだ、日本からガラスの生産がなくなる始まりにすぎない」と警鐘を鳴らす。

 ガラス事業の中でも収益性が特に低いのは自動車用で、「原材料価格や燃料費が値上がりしている地合いでも価格転嫁がほとんど通りそうにない。このまま事業を続ければ今後5年、10年のスパンで各社は赤字を垂れ流し続けるだろう」と同ファンド幹部は指摘する。直近で大リストラを実施したセントラル硝子の国内ガラス製造拠点で、さらなる縮小や他社を巻き込んだ再編があるかどうかが焦点となる。

 板ガラス首位のAGCは、18年に「旭硝子」の名前を捨て、ガラス以外の事業を拡大することで厳しい経営環境を生き抜いていくことを既に宣言済みだ。

 06年に「小が大を飲む」形で英大手ピルキントンを買収した日本板硝子は、いまだに事業の大半がガラスに依存している。身の丈を超えた巨額買収の失敗で財務基盤は痛んでいる中、同社が下す今後の経営判断も注目点だ。