最近、よく「新築物件でお薦めを教えてください」との問い合わせを受ける。新築マンションの値上がりについて、過去のデータを見ると、この問いに対するヒントが得られる。過去に値上がり率の高かった物件のランキングを見ながら、その謎解きをしよう。(スタイルアクト(株)代表取締役/不動産コンサルタント 沖 有人)
値上がり率の高い新築物件
ヒントは過去のデータにあり
「新築物件でお勧めを教えて下さい」は、最近よく聞かれる質問だ。この答えは常に持ち合わせているが、そう簡単には口を割らない。そのヒントは過去に学ぶことができる。
この10年、新築マンションは値上がりしてきた。その中でも値上がり率が高い順に物件を並べると、ある法則性が判明する。この法則性に従って同じような物件を買えば、値上がりを再現できるかもしれない。値上がりしそうな物件は竣工すると、その2~3割が売却や賃貸で市場に出てくる。自宅ではなく、投資で買っている人が相当数いるという証拠だ。過去に値上がり率の高かった物件のランキングを見ながら、その謎解きをしようと思う。
2011~19年の値上がり率トップ5の44物件(サンプル数の関係で2017年は4位まで)のうち、港区が34%、渋谷区が25%、千代田区が14%で、都心3区合計で73%を占める。1物件を除いて東京23区に位置している。立地が都心オフィスへのアクセスのいいエリアでないと、大きな値上がりは期待できない。
次に、駅からの徒歩分数は平均5分で駅近物件が多い。駅から離れた場合は、稀少立地か大規模再開発エリアの中のマンションである場合が多い。
これに加えて、タワー(20階以上)と大規模(総戸数200戸以上)が多い。この中には、先ほどの再開発エリアの中に立つマンションがある。再開発物件は値上がりしやすい。六本木ヒルズや恵比寿ガーデンプレイスのように、街並みまで造り込んだ再開発案件は値上がり幅が通常物件よりもかなり高いことは、証明が容易だ。
購入時期としては、この10年一本調子に値上がりしてきたので、古い物件のほうが値上がり幅は大きい。この値上がりは金融緩和によるものなので、日銀の黒田総裁の任期である23年までは続きそうである。そのタイミングで仕入れた土地は分譲されるまでに2年程度かかるので、25年まで新築価格は下がりそうにない。
次ページでは、資産性のあるマンションを購入する際の「7つの法則」を伝授するとともに、「値上がり率」の高い新築マンションランキングをお見せしよう。値上がり率の高い新築物件の傾向がお分かりいただけるはずだ。