“トップアスリートたちの体の使い方には二通りある”。

 それはつまり、簡単に言えばリズムを『うで』で取るか『あし』で取るかです。これが〈うで体〉〈あし体〉が生まれた瞬間でした。この違いは鹿屋体育大学の協力のもと、最新鋭設備での研究によるエビデンスも得ることができています。

 普通、メソッドの構築というのは一般的に大勢の人の統計を取り、それで得た膨大なデータを分析しながらまとめていくのですが、私のやり方は逆でした。少数派であるアスリートたち、たとえばメダリストやプロ野球、プロスポーツ選手と共に活動したことがデータとして蓄積され、骨幹理論となっていったのです。

 なぜ、多数派のデータではなく、少数派のデータなのか?これにはアスリートたちを見てきた、私なりの考えがあったからです。ご想像に難くはないと思いますが、アスリートというのは、競技は違っても自分の体に関しては何よりも一番に考え、研究し、自らのパフォーマンスを1ミリでもアップさせていこうと人生をかけて努力するスペシャリストです。

 そのため彼らの体は、動かしたい部位を自らの動かしたいイメージ通りに驚くほど正確に、緻密に動かせる精密機械のようになっているのです。たとえば1+1は必ず2になるコンピュータのようで、あいまいなところが一切ありません。

 そんな彼らの体の動かし方は、おもしろいように二つのタイプに分かれるのでした。イメージや表現は違っても行きつくところ、理想とする動きが同じで、そしてその動かし方のタイプは不思議なことに、二通りしかない。いったいなぜなのか。それらを紐解いていくと、骨盤のねじれ方(=向き)が大元にあるとわかったのです。

 つまり、「うで体・あし体理論」とはトップアスリートの体の使い方やイメージがぎっしり詰まった、上達への近道と言える理論なのです。

〈うで体〉〈あし体〉は、「混ぜるなキケン!!」

 選手たちに指導する時に、必ず伝えている言葉があります。これを読んでくださっている皆さんにも、ぜひお伝えしたいと思います。

「〈うで体〉〈あし体〉の動きを絶対に混ぜてはいけない」

 この言葉は〈うで体〉〈あし体〉にとって絶対条件ともいえるものです。それぞれの動きというのは、お互いにとっては毒となる要素。

 混ぜるなキケン ? です。

〈うで体〉〈あし体〉というのは骨格のねじれによる力の出し方=本能であるということを説明しました。それぞれ骨格のねじれによる快適な動かし方、もっとも力が発揮できる動かし方があります。それでは、この違いをゴルフスイングに当てはめるとどうなるのでしょうか。