アメリカやEUと比べて、日本は次元が違う中国依存ぶり

 輸入先上位1位の国でシェアが5割以上を占める財のことを指す、「集中的供給財」という言葉がある。これが多ければ多いほど、輸入先の国にベッタリと依存していることになる。

 内閣府の資料によれば、中国からの「集中的供給財」はアメリカは約600品目、ドイツでは約300品目となっている。この中国依存の高さから、アメリカもEUもそれほど中国へ強いことが言えないという現実があるのだ。

 翻って我が日本はどうかというと、なんと1000品目以上である。アメリカやEUとは次元が違う中国依存ぶりなのだ。輸入だけではない。日本経済を牽引する自動車産業などもガッツリと中国依存が進んでいる。今や中国は世界一の自動車市場で、トヨタが20年に中国で180万台を販売、これは世界全体の2割に相当するという。

 こんな状態で日中が領土を巡って対立した場合、どんなことになるのか想像をしていただきたい。先ほどの内閣府資料の記述から、我々にどんな未来が待ち受けているかイメージできる。

「このように、仮に輸入先国の中国で何らかの供給ショックや輸送の停滞が生じ輸入が滞った場合には、アメリカやドイツと比較して日本ではより多くの品目でほかの輸入先国への代替が難しく、金額規模的にも影響が大きい可能性(リスク)がある構造といえよう」(「世界経済の潮流  2021年 II中国の経済成長と貿易構造の変化」

 今、プーチンの蛮行に対する怒りで「経済制裁でロシアをもっと追いつめろ」という世論ができていることを踏まえれば、もし中国が攻めてきたらそれ以上の「中国に厳しい制裁を!」の大合唱となるだろう。しかし、それは中国共産党を追いつめるどころか、特大ブーメランとして我々の脳天に突き刺さってしまう恐れが高いのだ。