ロシア中央銀行のエリビラ・ナビウリナ総裁は8年間かけてロシアの金融政策を現代化し、世界市場との絆を構築した。しかし、この6週間で、自らが作り上げたものの多くを壊すことになった。ウラジーミル・プーチン露大統領の戦争経済を好調に維持するという新たな任務のためだ。ナビウリナ氏は、ウクライナ侵攻を受けた西側諸国の制裁で経済が崩壊するのをロシアが防ぐ上で、鍵を握る人物の一人。20年来のプーチン氏の盟友で、ルーブルの安定化とインフレ対策を担う主要当局者だ。ロシア政府は、その2つを制裁の影響からロシア国民を保護するために不可欠な仕事とみなしている。同氏の任務はある程度成功している。侵攻以来、相次いで打ち出した緊急措置は、ルーブルの急落を反転させ、ドル換算で侵攻前の水準にほぼ回復させた。また、8日に緊急利上げを巻き戻し、政策金利を20%から17%に引き下げた。これは、取り付け騒ぎが収まったことを示すものだ。しかし、経済学者らは、ルーブルの回復は見せかけの勝利だと指摘する。ルーブルは今や無数の制約を受け、多くの取引で有用性が限定されているためだ。
ロシア中銀総裁、戦争で方針を180度転換
ロシアを世界経済に統合する任務を捨て、経済崩壊の阻止にまい進するナビウリナ氏
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