しかもバイデン大統領は、12月7日、プーチン大統領と会談し、「アメリカ軍をウクライナに派遣することは検討していない」という考えを伝えている。これは「攻めるならお好きに」と言っているようなものだ。

 これらから考えても、アメリカが、ロシアの軍事侵攻を可能にする方向に持っていったと考えていいのではないだろうか。

中国が得た
3つの成果

 ウクライナ侵攻における、もう一人の勝者は中国の習近平国家主席である。

 中国は、ロシアがウクライナに侵攻した当初から、ロシアに対し、「非難も支持もしない」というスタンスをキープしてきた。

 国際社会から仲介を求める声が相次いでいるものの、習近平自身は今も全く動こうとしていない。

 戦争が長期化すれば、対アメリカで共同歩調を取るロシアが傷む。貿易面で関係が深いウクライナも疲弊する。それは中国にとって好ましくないことだ。

 特に、ロシアが「ウクライナ東部の少数民族=ロシア系住民を守る」という名目で攻め込み、その独立を承認したことは、新疆ウイグル自治区を抱える中国からすれば認めることはできない。

 しかし、中国にとって、戦争そのものはけっしてマイナス材料ではない。ある面、好ましいことかもしれない。

 ウクライナ侵攻による中国の成果は大きく3つある。