4. ビジネスモデルの多様化

 車中体験が進化するにつれて、これまでクルマに付帯していたさまざまな機能が、ユーザー側に移っていくことが考えられます。

 カーナビを例に具体的に説明しましょう。今、カーナビは車体に内蔵されているものが多く、車の走行履歴データを元に各種機能が提供されています。今後はサブスクリプションなどを通じこの機能が車体ではなくユーザーに紐づけられ、マイカーであろうがカーシェアであろうが、どの車に乗っても、ログインをして同じナビ機能を呼び出せるようになると考えられます。

 さらにはユーザーがスマホの利用履歴を車に読み込ませることで、よりパーソナライズされた機能を利用できるかもしれません。さらには、クルマそのものがサブスクリプション化され、車体もサブスク、メンテナンスもサブスク、ナビや付帯機能もユーザーが選ぶ、といった利用方法が広がる可能性もあると見ています。

 実際に、テスラが運転支援機能「フルセルフドライビング(FSD)」をサブスクリプションで提供し始め、マンションディベロッパーが入居者専用のカーシェアサービスを提供するなど、各社がビジネスモデルの多様化に向けて動き始めています。

 このように、従来型の「自動車業界」が広義の「モビリティ」に進化する過程で、ビジネス規模も大きく広がる可能性があります。

5. ワクワクするデザイン

 とはいえ、EVに乗るなら、やはり格好いい車を選びたいもの。EVの費用対効果や環境への貢献は理解できるが、残念ながらデザインが…と敬遠されている方も多いのではないでしょうか? しかし、最近のEVはデザイン面でも進化を続けており、国内外のモーターショーでは、洗練されたデザインが次々と発表されています。

 また、カスタマイズできるデザインにも注目しています。人々の価値観が多様化する中、車の外観デザインそのものを個別のニーズに合わせてカスタマイズする、そんな世界観も必要になってくるかもしれません。2022年1月のCESで、BMWが色の変わるクルマを発表しましたが、これもその第一歩かと思います。

 外観デザインだけでなく、モビリティ手段としてのクルマそのものや、どの機能を使うかの選択も多様化すると思われます。将来的には、カスタマイズされた車のデザインやパーツ等を、NFT(非代替性トークン)をかませて個人や企業が所有する、といったような発展もあり得るかもしれません。