テスラの急速充電設備・スーパーチャージャーテスラの急速充電設備・スーパーチャージャー(写真提供:Tesla, Inc. )

各国政府が脱炭素社会に向けて大きくかじを切る中、EV(電気自動車)がいま大きな注目を集めています。既存の自動車メーカーにとどまらず、IT企業などの異業種や新興メーカーからもEV市場への参入が相次いでいるほか、カーシェアリング、サブスクリプションといった新たなサービスの広がりも重なり、クルマの役割そのもの、ひいてはモビリティ産業が根本から変化しつつあります。
当連載では、EV化をめぐる海外の動き、ならびに日本企業の対応を紹介しながら、また私自身の個人的な経験も踏まえて、EV・モビリティの未来をさまざまな視点からつづりたいと思います。

※当連載はEnergyShift「平井陽一朗のテスラに乗って」(株式会社afterFIT)から抜粋、再編集したものです。

欧州では2035年までに
ハイブリッド車も生産禁止に

 前回は、私がテスラ「モデルS」を購入し、手放すまでの4年間の個人的な経験をご紹介しました。今回は、EV化をめぐる海外企業の動き、そして日本企業の対応を紹介したいと思います。

 さて、海外ではテスラが旗振り役となり、自動車領域の脱炭素化を強力に推し進めてきました。これからはテスラに限らず、従来の自動車メーカー、新興系EVメーカー、ひいてはエネルギー会社や運送会社、商業施設や不動産デベロッパーといった異業種までもが電気自動車(EV)業界に乗り出し、脱炭素化の大きなうねりとなっていくことが考えられます。

 既に海外ではそのような動きが始まっています。まず、欧州の自動車メーカーに関しては、EU(欧州連合)が2035年までにハイブリッドカーを含む化石燃料動力を利用したすべての車の生産を実質的に禁止する方針を示したことから、脱炭素化への対応は死活問題です。このため、メーカー各社から高性能かつデザイン性も高いEVが続々とリリースされはじめました。

 既に、ポルシェはBEV(バッテリー式電動自動車)の「タイカン」をリリースしましたし、他にもアウディの「e-tron」、ジャガーの「I-PACE」など、次々とリリースされており、東京でもちらほらと街を走る姿を見かけるようにもなってきました。BEV市場ではこれからますます熾烈な競争が繰り広げられることでしょう。