下がらない新築価格、買い手・売り手はどうすべき?

 その一方で、新築価格は下がりそうにない。売れ行きに関係なく、仕入れ価格は高騰しているからだ。仕入れとは土地価格のことで、マンション・戸建てともに価格は上昇している。これに加えて、人手不足と資材・設備の供給の滞りで、建築単価も上昇している。

 コロナ特需で売れ行きが絶好調になり、販売在庫が減り過ぎて、仕入れ用地が不足する事態になった。土地代は値上がりし、通常行っていた値引き幅は急速に縮小していった。それだけ購入客が絶えなかったので、目の前の決めきれない客に売らなくてもいいという判断ができたのだ。こうして、実際の購入価格は、コロナ前より1割以上上昇している。

 コロナ特需の背景であった外出制限による休日の家探し急増は、その前提が変わったため、終焉を迎えた。新規感染者は多いものの、この状態にも慣れ、感染対策をした上での外出が増え、プライベートに関しては、コロナ前の日常に近い状態に戻りつつある。コロナ前の持ち家の売れ行きは、前述したように軟調な状態が続いていた。その頃に近い状態になったとしても、不都合なことが1つある。その当時よりも価格が1割以上高いことだ。

 価格と販売される戸数は、逆相関の関係にある。価格が1割上がると、販売戸数は1割減るのが通常の分譲マンションマーケットであり、買い手の減少が見込まれる。価格の高さが踏ん切りを悪くし、決めきれない人も増える。

 これに加えて、結婚する人は、20年にはコロナ前である19年から1割以上減少しており、この関係で、出生数が前年同月比で1割以上減った月もある。共働きでも夫婦でないとペアローンは組めないし、子どもが生まれないと持ち家ニーズは弱まる。こうしたことが重なって、今年度に待っているのは一転して売れ行き不振なのかもしれない。

 そんな市況の中で、やるべきことは決まっている。家を購入したい人は、落ち着いて選べる状態で値引きも期待できるので、焦らず丁寧に物件を探すことだ。売れていないときのほうがいい物件を安く買えるので、条件は悪くない。逆に、家や土地を売りたい人は早々に行動したほうがいい。需給ひっ迫で、高く売れるタイミングは終了してしまうからだ。