ウクライナ危機で台頭「自国中心主義」、国益の誘惑でぼやける結束ウクライナ危機が長期化しそうな中、「国際的正義」重視で結束してきた西側諸国で一国中心主義、偏狭なナショナリズムが強まる「不吉なストーリー」の予兆がある(写真はイメージです) Photo:PIXTA

ハンガリーで親ロ保守政権勝利
仏大統領選で極右候補が急伸

 当初は数日でロシアが首都キーウ(キエフ)を制圧すると思われていたウクライナ危機は、ウクライナ側の予想をはるかに超えた強力な抵抗で、2カ月近く続いている。

  この間、日本を含む西側諸国の多くは、ロシアとの直接的な戦闘に加わることは回避しながら、結束してウクライナ支援・ロシア制裁を実施してきた。

 しかし、その一方でハンガリーの総選挙で、親ロ的なスタンスを取る保守的な政権与党が議席を伸ばし、フランス大統領選(第1回投票)ではロシアへの経済制裁強化に反対する極右政党、国民連合(RN)のルペン候補が急進し、アメリカでは、プーチン大統領の政治的力量を高く評価するトランプ前大統領の再登板待望論が盛り上がる。

 ナショナリズムと親ロシアが結び付く「奇妙な現象」が、いま西欧諸国でなぜ起こっているのか。「不吉なストーリー」の予兆にも感じられる。